郁恵さんの涙。

観劇頂いたほとんどの方がお気付きだと思いますが
矢島弘一 2026.06.06
サポートメンバー限定

「可もなく不可もない戦争」に登場した辛嶋家は

私の家族がモデルになっています。

実際、長女は毎年黒人の彼氏を連れてきていたし

次女は結婚詐欺にも遭った。

父とも会社のことで疎遠になり、そのまま父は他界した。

いつかこれは物語になるとその頃から考えていた。

これが脚本家の悲しき現実である。

人としてどうかとも思う。

執筆中、こんな自分の家族のことを舞台にしてお客は喜んでくれるのか?

何度も下を向いたが、なんとか奮い立たせデスクの前に座った。

相変わらず今も姉とは疎遠だ。

しかし、母とは今でも仲が良い。

私の住む家から徒歩、2分ほどの場所に住んでいる。

そんな母の役を引き受けてくださったのが榊原郁恵さんだ。

郁恵さんとの出会いは約2年前。

東京マハロ前作「スープラに乗って」をご観劇頂いた際にご挨拶したのがキッカケ。

福田ユミの娘役だった佐竹桃華さんと同じ事務所で

マネージャーさんを通してご紹介いただいた。

この頃すでに、本多劇場での公演が決まっていて、私の家族の物語の構想も練っていた。

郁恵さんにお会いして、私は「この人だ」と思い

「スープラに乗って」が終演した直後から企画書づくり。

それを郁恵さんのマネージャーさんに提出して、正式にオファーした。

しばらくして郁恵さんから

「一度お食事しませんか?」

とご連絡をいただき、外苑前の中華屋へ足を運んだ。

目の前には私が子供の頃から見ていた大スターである。

正直めちゃくちゃ緊張した。

しかしそんな緊張をほぐすかのように、郁恵さんは微笑みながら

私の家族のこと、物語のこと、過去や未来、いろんな話に耳を傾けてくれた。

当初は1時間半くらいの予定だった。

しかし気づけば3時間半、おしゃべりをしていた。

とにかく楽しかった。

翌日、郁恵さんから「出演OK」のメールを頂いた。

そんな郁恵さんは、とにかくスタートは思えないほど腰が低い人。

私にはいまだに敬語で、信じられないと思うけど、あの榊原郁恵が

稽古場では食器洗いから荷物運びまで率先してくれる。

それはまさに、劇団員のような動き。

そして何よりも芝居に対して

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、528文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
写真で振り返る。
誰でも
舞台写真、公開していきます。
サポートメンバー限定
和田と共に去りぬ
サポートメンバー限定
本当は英語が話すことが出来ない。
サポートメンバー限定
はだしのにしゃんた
サポートメンバー限定
トイプードルを操る女優の話。
サポートメンバー限定
哲さんと最終日に食べた鰻の味は忘れない
サポートメンバー限定
幕が閉じてわかったこれからのこと、僕が向かう道。